太陽光発電を考えた時に、一緒に考えるのは蓄電池ですよね。
僕も初めは蓄電池を太陽光パネルと一緒につけるか迷いました。
ただ、実は蓄電池を設置することは、ほとんどの家では電気代の節約には繋がりません。
なぜかというと、蓄電池の設置費用の方が、節約できる電気代より高いからです。
僕の場合は、見積もり時のシミュレーションを比較検討して蓄電池の設置をやめました。
今回は蓄電池をつけると得な場合と損な場合について紹介します。
蓄電池は電気代の節約にはならない
自宅に太陽光パネルを設置する場合、目的が「電気代の節約」という人は多いはず(ほとんど?)。
さらに蓄電池があれば、お昼に蓄えた電気を夜にも使えて「電気代0円も夢じゃない」と考えていると思います。
その考え方自体は正解で、晴れた日だと太陽光パネルのkW数によっては電気代はかかりません。
それでは「なぜ節約にならないのか」ですが、それは支出がかなり大きくなってしまうからです。
当然ですが、どれだけ節約しても、それ以上に支出が増えてしまうと赤字になってしまいます。
蓄電池が節約にならない理由
蓄電池を設置しても節約にならないのは、次の2つが最大の理由となってきます。
蓄電池が節約にならない理由
- 節約額よりも導入費用の方が大きい
- 寿命が10年ほどなので交換が必要
単純にいうと、「現時点ではまだ蓄電池を設置するには高い」ということです。
節約額よりも導入費用の方が大きい
会社によって変わってきますが、一般家庭での蓄電池の設置費用は、大体80~100万円ぐらいになってきます。
つまり、月々に8,000円ぐらいの支出が増えることになります。
それでは、蓄電池を導入することで節約できる電気代がいくらぐらいになるのかが気になりますよね。
そこで、我が家(オール電化の4人家族)の電気消費量が1番多い2月で簡単に計算してみました。
ちなみに究極に安くなった場合を想定するために、すべての電気を深夜電力の電気代でまかない、発電分はすべて売電する形で計算しています。
蓄電池での節約額
電気の消費量 | 深夜と昼での電気代の差額(円) | 月に節約できる価格 |
---|---|---|
約600kWh | 21円(はぴeタイム) | 12,600円 |
発電量 | 固定買取価格 | すべて24円で売電 |
---|---|---|
441kWh | 24円(2019年設置の場合) | 10,584円 |
上記のように考えると、
「節約分12,600円」+「売電額10,584円」-「設置費用16,600」で
「6,584円のプラス収支」
になります。
これだけをみると「プラスになるので悪くないのでは?」と思いますよね。
ただ、蓄電池を導入してない太陽光パネルのみの状態だと、
「節約分9,713円」+「売電額7,924円」-「設置費用8,600円」で、
「約9,000円のプラス収支」
になるので、節約を考えると太陽光パネルだけの方がお得になります。
ちなみに我が家の電気プランは、昼がめちゃくちゃ高い(夏季だと34.95円/kWh)ものの、夜がめちゃくちゃ安い(10.70円/kWh)ので、平均よりも節約価格は多めかもしれません。
蓄電池は、今後の技術の進歩などで安くなるとお得になるかもしれませんが、2020年時点ではまだまだ節約効果は期待できないです。
寿命が10年ほどなので交換が必要
蓄電池の寿命は10年程となっており、太陽光パネルと一緒に導入しても、大体10年後には蓄電池は交換することになります。
つまり、20年・30年と先を考えると、必ず交換が必要となってくるため、また支出が増えてしまいます。
しかも、先ほどの節約の計算は、固定価格買取の期間中の計算です。
10年後以降だと売電額は大きく下がるため、蓄電池の交換費用も含めると、まずプラス収支にはなりません。
ただ、これについても技術の進歩で寿命は延びていくかと思うので、数年後にはお得になる可能性もあります。
蓄電池があった方がいい場合
電気代の節約を目的としている家には、蓄電池の設置はおすすめできません。
しかし、そもそも蓄電池を設置することのメリットは「電気を蓄えられること」です。
なので、目的や環境によっては蓄電池があった方がいい場合ももちろんあります。
例えば、次のような場合は、蓄電池の設置もおすすめです。
蓄電池があった方がいい場合
- 停電時の保証が目的の設置
- 毎日の電気代がめちゃくちゃ高い家の設置
あとは、FIT(固定価格買取制度)終了後の設置もありだと思いますが、その場合でも上記2つのどちらかの場合の方がいいと思います。
停電時の保証としての設置
災害などでの停電時にもエアコンを使ったりして快適に過ごしたい。
そう考えている場合は、蓄電池は必須アイテムの1つになります。
僕も初めは知らなかったのですが、停電時に太陽光パネルとパワコンだけでは基本的にエアコンは使えません。
電気もパワコンに付いている1つのコンセントから、太陽光が当たっている間だけ電気がとれる形になります。
つまり、夜にも電気を使うために蓄えたり、エアコンが使える電気量を用意するためには蓄電池が必要ということです。
停電時の保証としては、蓄電池はかなり役立つものになります。
毎日の電気代がめちゃくちゃ高い家
あれだけ節約効果が少ないといったのですが、電気をめちゃくちゃ使う家の場合は蓄電池を設置することで電気代の節約になる場合があります。
蓄電池で節約できる電気代は、電気の使用量が多ければ多いほどお得になってきます。
電気代のプランや蓄電池の容量にもよるものの、一般家庭よりも電気使用量が多い家なら、支出を考えても電気代が大きく節約できる可能性が高いです。
蓄電池もある場合のシミュレーションをして、年間でプラスになるようであれば、蓄電池の設置もありだと思います。
必要かどうかの判断は自分でしよう
結局、「蓄電池は節約効果があるのか?」をまとめると、下記の通りになります。
- 一般家庭では電気代の節約効果はない
- 目的や状況によっては設置した方がいい
最初の時点で太陽光パネルと同時に蓄電池を設置すると、家によっては日々の生活費がマイナスになる可能性もあるかと思います。
とはいえ、節約以外の部分では蓄電池で安心できる部分もあるので、一概にやめておいた方がいいとも言い切れません。
ただ、「設置会社の営業マンがすごい勧めるからやってみる」ということは絶対にやめてください。
シミュレーションデータをみて、「自分の家に必要か」・「目的にあっているのか」をしっかり考えて判断していきましょう。